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楕円曲線の位数2, 3を持つ点の個数

$\def\O{\mathcal{O}}$

ここでは標数2, 3の体は考えないため, 全ての楕円曲線はWeierstrass標準形 $y ^ 2 = x ^ 3+ax+b$ で表せるとする. また, 楕円曲線上の点 $P$ の $x$ 座標を $x(P)$ , $y$ 座標を $y(P)$ と表す.

位数2の点

複素数体上の楕円曲線 $y ^ 2 = x ^ 3 + ax + b$ 上の無限遠点$\O$を除く点のうち, 位数2を持つ点の個数は1個, 2個, 3個のうちいずれかである.

証明

$2P = \O$ から $P = -P$ . $P$ を座標表示すると $(x, y)$ となり, これを用いて $-P$ を表すと $-(x, y) = (x, -y)$ なので $P = -P$ のとき $y = -y$ である. これは $y = 0$ に他ならない.

楕円曲線の定義式 $y ^ 2 = x ^ 3 + ax + b$ から $y = 0$ ならば $x$ は $x ^ 3 + ax + b = 0$ の根であることがわかる.

以上より, 位数2を持つ点 $P$ は方程式 $x ^ 3 + ax + b = 0$ が重根を持たないと仮定すると, $\alpha, \beta, \gamma$ としたとき, $(\alpha, 0)$ , $(\beta, 0)$ , $(\gamma, 0)$ の3個である. また, 方程式が2重根ないし3重根を持つときはそれぞれ同様に考えることで2個, 1個の点を持つことがわかる.

位数3の点

複素数体上の楕円曲線$y ^ 2 = x ^ 3 + ax + b$上の無限遠点 $\O$ を除く点のうち, 位数3を持つ点の個数は2個, 4個, 6個, 8個のうちいずれかである.

証明

$3P = \O$ から $2P = -P$ . $x$ 座標のみを考えると, $x(2P) = x(-P)$ だが, $x(P) = x(-P)$ なので, $x(2P) = x(P)$ を証明すればよい.

点 $2P$ の $x$ 座標は、$P = (x, y)$ としたとき,

$$ \lambda = \frac{3x ^ 2+a}{2y}\\ x(2P) = \lambda ^ 2 - 2x $$

と表される. ここから方程式を考える.

$$ \begin{align} x(2P) &= x(P)\\ \lambda ^ 2 - 2x &= x\\ \end{align} $$

$$ \frac{9x ^ 4+6ax ^ 2 + a ^ 2}{4y ^ 2} - 2x = x\\ \frac{9x ^ 4+6ax ^ 2+a ^ 2}{4y ^ 2} - 3x = 0 \\ 9x ^ 4+6ax ^ 2+a ^ 2 - 12xy ^ 2 = 0\\ 9x ^ 4+6ax ^ 2+a ^ 2 - (12x ^ 4+12ax ^ 2+12bx) = 0\\ \underline{\therefore 3x ^ 4+6ax ^ 2+12bx-a ^ 2 = 0}\\ $$

よって、方程式 $3x ^ 4+6ax ^ 2+12bx-a ^ 2 = 0$ の根はそれぞれ $P$ の $x$ 座標となる. また, $y$ 座標はある $x$ について $y = \pm\sqrt{x ^ 3+ax+b}$ であることから, $x$ 座標が一つ確定したとき, 対応する点は2個存在する.

以上より, 位数3を持つ点は方程式 $3x ^ 4+6ax ^ 2+12bx-a ^ 2 = 0$ の根を $x_1, x_2, x_3, x_4$ とするとき, $(x_1, \pm\sqrt{x_1 ^ 3+ax_1+b})$ , $(x_2, \pm\sqrt{x_2 ^ 3+ax_2+b})$ , $(x_3, \pm\sqrt{x_3 ^ 3+ax_3+b})$ , $(x_4, \pm\sqrt{x_4 ^ 3+ax_4+b})$ の8個である. 方程式が2重根, 3重根ないし4重根を持つときも同様に考えることで6個, 4個, 2個の点が存在することがわかる.

参考文献